……そういえばそうだったっけ。
[昨日の会話を思い返しながら。手が留守になっていたことに気付いて、(焦げ付きかけていた)玉葱を炒める作業を再開する。]
ん、そうか。人狼を見つけられる能力がある人は、それだけ人狼にとって脅威なわけだから……。
……あ、人狼には1対1じゃ勝てない、ってことだけは教えておくね。人狼自体が言ってたし、結社の人も言ってた。
特別な力でもない限りは無理だ、って。
だから、アーベルがそうやって能力のことを隠してるのは……うん。良いアイデアかも。
[真面目な顔で同意した。でもそうなると、名乗っちゃったイレーネの方が心配だね、と独りごちる。後半の言葉には、呆れたように]
……嘘臭いって。まあアーベルってちょっと底知れないとこあるけど、でも……。
[言いかけて]
……待って。嘘、って。
[忘れていた、可能性。]
ねえ、アーベル。人狼が嘘ついて、「人狼を見つける力があるんだ」って名乗りをあげる、ってことも、もしかしたら。