[アーベルの冗談ぽい口調に、さきほどから真顔で固まっていた表情が緩む。]
一応考えてはいたのね。
安心していいよ、私は人狼じゃないし。
[あー、でも、これは誰でも言える台詞か、と少し考えながら]
言い当てた……って言うには、まぐれ当たり過ぎるけどね。
まだアーベルが偽っていう可能性も一応、あるにはあるし。
[言いながら、けれど、既にアーベルを信用しかけている自分に気付く。]
……ん、まぁ、ありがと。
これはまだ、私から他の人には言わない方がいいんだよね。
[確認をとりかけて、アーベルの指摘に、え、と鍋を見下ろす。
数瞬後、ユーディットの情けない悲鳴があがり、数分後にはそれはもう順調に、修復不可能なスープが出来上がることとなった。
がっくり項垂れるユーディットと異様な匂いのスープに、エーリッヒはどんな顔をしただろうか。
白猫のにゃあという平和な鳴き声は、その場に*酷く似つかわしいものだった。*]