馬鹿、らしい。
[森で会ったことのある、少年の声。
挨拶もしていないのに、それには大真面目に頷いた]
本心から紡いだ言葉を本気というのならば、そうなる。
……「紳士」。
少なくとも、私の知識内にある、程遠いのだけれど。
島が異なれば、常識も異なるのかな。
[悪気はないようだが、無論、善意もなく]
在ると証明するより無いと証明するほうが難しいというけれど、
馬鹿ではないということの証明は、どちらに該当するのだろうね。
[やかましい、かかる世帯主の声。
目の前の男が口を噤んだことにより、自分も口を閉ざす]