―宿屋―
[途切れた意識は、空白を経て、再び色を取り戻す。
軽く身動ぎ、目を開けて。
眠る前と変わらぬ様子と確かめたなら、小さく安堵の息をもらして身体を起こした]
んー……髪、整えたい。
[はら、と零れた髪を一房摘まんで呟く。
しばしの思案。身体が大分楽になっているのを確かめると、ゆっくりと立ち上がる]
ウチ、ちょっと、洗面所借りて、髪整えてくる。
……大丈夫だよ、歩ける。
なんかあったら、ツィン寄越すから。
[一人で行く、と言う言葉に難色を示されたなら、早口にこう言い募り]
……乙女の都合、ていうのもあるんだから。そこら、察して?
[どこまで本気かわからない口調でこんな事を言ったりしつつ。すぐ戻るから、とぶち猫と共に洗面所へと向かった]