[ゆっくりゆっくり、確かめるよな歩みで洗面所へと向かい、顔を洗って髪に櫛を入れる。それから、結い紐を手に、鏡に写る自分に向き合った]なかない。まけない。[小さく呟きつつ、髪をきゅ、と結わえる。いつもならば続くはずのもう一つの言葉――『あまえない』がない事に気づいたぶち猫が短く鳴いた]