― 回想・台所 ―
うん。クレメンスさんが伯父上だった。
[背中を撫でられれば、少し落ち着いて。抱きついていた身体を離して、こくこく頷く。
174センチの男装の女が抱きついた状況、身長差なども含めて他からどう見られるかなんて考えてません。
子供の頃、伯父について村の人に訊いて回った事は何度あっただろうか。おそらくそのときは毎回、ユーディットも一緒だった筈。
ちなみに、訊いて回った時。
『ゾフィーに兄なんぞ居ない(某酒場の店主)』『昔出て行ったきり戻っていない(某姉の旧友)』『ゾフィーの兄かい?あの子は昔は暴れん坊だったけど、最近はすっかりおとなしくなったねぇ(某老婦人)』など、証言がバラバラだったので、怪しいとは思っていた。
頼りになる人云々には、嬉しそうに微笑んで]
ユーちゃんも、頼りにしてるよ?
[全面的に信用していなかったら、異性相手に、こんな無防備に抱きついたりなどしていないだろう。
そして、その後。
一人で着替えに行って、その後の騒ぎに発展する]