[『鬼』になりきれぬ彼女が、『人』でいられるならばそれでいい、と思っていた。
同じ『鬼』となった彼──否、彼女が、それでも『人』の意志を持っているのに安堵もしていた。
真に『鬼』たるは、幼き頃から『鬼子』と呼ばれた自分だけでいいと。
そんな思いは、己が死によって断たれ、だから]
……その、選択肢、自体は。
構いやしねぇけど、さ。
[『鬼』で在り続けるというなら、それをとやかくは言えない、けれど]
……人を都合よく使いやがって。
ま、仕方ねぇか。
『借り』だしな。
[零れ落ちるのは、ぼやくような呟き。
届かぬ言葉を落とした青はただ、静かに。
交わされるやり取りを見つめ続ける。
最後まで見届けるのが、己のなすべきと。
心のどこかでそう、思うから。**]