[その家で暮らすのは母一人娘一人。
娘はまだ年端も行かぬもので、幼いながらに病気の母の看病をしていた。
けれど働き手が居ないために高価な治療費を用意出来ず、医者に診せることが出来ずに居た。
村自体裕福でもなく、援助するもままならない。
母の容態も日に日に悪くなる一方。
結果、女神に祈りを捧げるより他無い状況になったらしい]
───母を想う優しい子……
貴女の願いを叶えましょう───
[夢現の娘にその姿はどのように映ったか。
娘の願いは母の病気が治ること。
病を治すこと自体は女神から分け与えられた力を使えば造作も無いことなのだが]
この先の森にある、八重の白花を摘んでいらっしゃい。
それを煎じて飲ませるのです。
病は回復するでしょう。
[微笑み告げるのは娘が為すべきこと。
この場で奇跡を行わないことには別の意図があった]