─広間→二階─
[ブリジットとゼルギウス、それぞれから向けられた嬉しげな様子に、自然、口元は綻ぶ。
ともあれ、二階へと上がり、適当に部屋を確かめる。
選んだのは、奥に対して向かって左の列の、真ん中近くの部屋。
階段近くは選ぶ人も多そうだから、と避けておいた]
さて、と。
[部屋に落ち着くと、鞄の中から書きかけのレポートとそのための資料を出して、小さな机の上に置いておく]
……まぁ。
考えすぎだと、思うけど……。
[置く前に、黒い革表紙の本をつと撫でる。
思い返すのは、漏れ聞こえていたエルゼとゼルギウスのやり取りに出てきた『獣』という言葉]
……嫌な符号だよな。
俺、自分の研究テーマの実体験とか、したくねぇぞ?