[聞こえる、と答えるようにヒューゴの呼び掛けにまた左手の指先が小さく動く。右にふれるぬくもりが恩人たちのものであると知れるのは彼の言葉>>338があればこそ。十二年前、同じように看病してくれたのも彼らでその時も同じように心配させていたのだろうか、と思う] (心配させるつもりはなくて) (こんなことは望んでなくて)[大事なひとたちを苦しめる心算などなかったアルビーネは望んだはずのことと現実の違いに苦悩を過らせた]