― ウェンディの部屋 ―
[部屋の中にはうっすらと死臭がただよっている。
ウェンディの遺体は、オードリーによって施された死に化粧が顔だけ見れば眠っているようにも見せていた。
その小さな遺体を見下ろし]
……そういや、嬢ちゃんから神父さんの名前とかきいてなかったなァ。
まァ……麓に戻れたときには、伝えといてやるよ。
ちゃんと、一人でお使いできたってなァ。
[胸ポケットにあるお守り。
それも少女の兄だという少年に返そうと思いながら少女を見やる]
……ま、ゆっくり休めばいい。
[お守りの意味はきちんとしらぬまま。
伝承にある守護する者だったのかもしれないとは思っていても、それを少年に確かめようとは思ってもいない。
そして、埋葬の時がくれば。
この屋敷に滞在してからはじめて精力的に働くことになるだろう**]