―広間―
ここがこうなってなかったら、僕がヘンリエッタという子に見つかってなかったら大丈夫だったんだけどね。
知られちゃったし。
困っちゃうよね。
[それから、ちょっと首を傾げる。]
ヘンリエッタっていう子ね。
捕まってたんだ。捕まえられてた、のかなぁ。
逃げられるはず、なかったのに、逃げたの。
僕は見てたんだよ。ぜんぶ。
殺したがってたのに殺せないとかも言ってたし、いったいなんでなんだろう?
隠しとく、とかも。
――僕にはわかんないことだらけだけど、でも、ヘンリエッタっていう子もわかんないこといっぱいだね。
[そんな事を話したら、ようやくおなかもすいてきたようで、お茶と一緒に出されていたお菓子に手をのばす。
たべたことのない味で、はしゃいだ声を*上げた*]