─ 神魔の森 ─
[娘は森を彷徨った。
母の病を治すために、天使に言われた花を探して]
「はぁ……どこにあるのかな」
[年の頃は10を越えたくらいか。
一人で森へと入るには勇気が要ったことだろう。
それでも、母を治したい想いの方が強かったから。
夢現で光を宿した十字架に一度触れて、森で花を探し続けた。
必死に花を探していたものだから、近付く者>>365に気付いたのは声をかけられた時で]
「ふえっ」
[誰かが居るなんて思いもしなかったから、驚いて奇妙な声が出た。
反射的に見上げた先に居たのは、自分よりも背のある男性。
それでも声は柔らかだったから、その場から逃げ出さずには済んだ]