[誠の血で赤く染まった制服と手。
ずっと忌避していたそれに眉根が寄る。
確かここには流しがあったな、と落とせる赤は落とそうとそちらへと向かった]
……へ?
[その途中、空が、と聞き>>355足を止める。
開かれる窓、吹き込んで来る夜風。
刹那、息を止めていたが、ゆるりと息を吐き出した]
…終わった…終わったん、だ。
[赤のついた手をだらりと下げ、ぼうとした様子で窓の外に見える夜空を見た。
もう自分が他の人を襲う必要は無い。
そう感じ、はた、と涙が一つ零れる]
良かった……もう、願わなくて良いんだ……。
[影に潜んでいた獣がどうなったのかは分からない。
けれど、常に感じていた嘲りの嗤いはいつの間にか無くなっていた]