[傷なき左手はロランの流した透明な雫に濡れる。傷ある右手は自ら流した赤い雫が滴る。差し出した赤の誘惑に耐える彼を認めれば男は少しだけ困ったように笑みを浮かべた]衝動を上手く制御できるように緩めるところは緩めていい。締めたままでは何れ限界を感じるだろ。[ロランの言葉を疑おうとは思わない。否、子供の成長を見守る親の心境なのかもしれなかった。自身の言葉が示すように赤く染まる手は彼に差し出したまま]キミが頑張るというなら応援しよう。[言って、ロランの頭をくしゃりと撫でる]