[包丁を握り飛び込んでくるカヤを見ていると、引き取った頃を思い出す。
今でこそ強がり悪戯好きな性格で人をあまり頼ろうとはしないけれど、当時はやはり寂しかったのか、飛び込んで来てずっとしがみ付いていた時もあった。
けれど今は、全く別の感情を抱いて向かって来ている。
守護者、と言う宣言には伏しかけた瞳が一瞬、円くなった。
そこで彼が執拗に人狼を捕まえようとしていた理由を察する。
そして彼なら迷わず責任を果たしてくれると、そう思った。
ナターリエの、最期の嘘を信じて]
……日中でなければ ─── っ!
[身動ぐことで抵抗の素振りを見せるが、体力を失った身体では碌な防御行動も出来ない。
この素振りも、紡ぐ言葉も人狼であることを印象付けるため。
これで終わりだと、思い込ませるため]