私が眠りにはいる前、
[ぽつりと、呟くように語りだす。
別に、彼女が聞いていようといまいとかまわない。
もし彼女がもう立ち去ってしまっていたなら、誰にともなく語る]
私がつとめていたがっこは、小さな通りに面した学校でした。
下校時刻になると、そのとおりが小さい子たちであふれかえって、きゃあきゃあ甲高い声が街いっぱーいに響くです。
[たわいもない、日常の風景。
瞳を細めて、目の前にそんな情景が展開されているかのように、言葉を紡いでいく]
(ああ、上手く、話せない)
[しゃべっているうちに、流石に自分でも舌の縺れを自覚した。
言葉が絡むたびに、詰まるたびに、少し寂しそうに眉をひそめる。それでも、ずっと話し続けた]
[自分の小さな宝物たちの、話。
教員生活は、はじめてから数年しかたっていない。
それでも、いくらでも思い出はあふれてきて]