[項垂れた体躯。上がらない頭]…誰か、なんて、ものじゃない。[丸めた体勢に似た背から、白の双翼が広がる。同時、僅かに輪郭が空気に溶け出して]今も、消えて居る。広い世界で、幾つも在る世界で。摂理から逃れた魂が、消えない時は、無い。[立ち上がる。其の重心変更だけでゆらりと舞う体]…せめて。俺の司る夜の中で、少しでも永く、在れるよう。[振り返る体。端から解けて、大気の闇色に*溶けて*]――祈っている。