[ 流石に靴のサイズは丁度とはいかず、彼にとっては些か大きい。普段より少しずれた足音は緋色の絨毯に吸い込まれるも、……カン、カンと、階段を降りる時には体重が掛かる所為か僅かに響く。一階に降り立てば先ずは食事をと広間に向かおうとして、目の前を通り掛った侍女に声をかけられる。]
ああ、今日和。……如何かしましたか?
[ 昨夜の事で何か云われるのか内心身構えていたが、其れは主目的では無かったらしくほんの一、ニ言で終わる。然し続いて告げられた言葉に緩やかに瞬いた。]
晩餐会?
[ 折角斯うして多くの人々が集ったのだから、其の機会を設けたいのだと云う。詰まりはアーヴァインもまた、広間で皆と共に食事をするのだと。]
……まあ、別段、反対する理由も有りませんが。