リディさんは、好きになさってくださって構いません。
[このまま此処で食事をしても、家に帰っても、
思うままに…――という意味合いの言葉を少女にかけ、
リディがどう反応しようと、マイペースにカウンターにとりあえず仮として代金を置いておく。
――代金を置いた本人は、
ヨーグルトを少しばかり口にしただけなのだが。
宿から出ると、まず、リディの足跡のついたズボンの膝を払う。
上げた視線の先にはフーゴーの後ろ姿。
丁度、詰所へと向かうフーゴーの後を追う形になったようだ。
その背が吸い込まれた場所を確かめると、
若干首を傾げるものの、後に続くような性格でなく。
生物学者は、島民からの奇異の視線を受けながら、
やはりそれに頓着した様子なく、港の方へと足を進めた。]