[イレーネの熱心な様子に、こちらもつい力が入る。
それでも、煮込みの他に幾つかのレシピを教えたところで、一つ、息を吐き]
……まあ、後は実践して作ってみる、という事で。
言葉で伝えるよりも、その方が早いですし、ね。
[こんな言葉で、ひとまず切り上げて。
食事を終えた人々のために茶を淹れてから、先送りにしていた自分の食事にかかる]
ん? ああ……ミーネっていうのは、君の尋ね人の事ですよ。
ヘルムートは筆名で、本名はヘルミーネ、っていうんです。
[ウェンデルの疑問には、何気ない口調でこう返す。
続いた言葉には、そんなに気を使わなくても、と思ったが、それは言わずにおいた]