─ 後日 ─
[向こうが病み上がりとか、周りの反応とか。
そんな細かい事まで意識は回らない。
いろんな気持ちがごちゃ混ぜになって、そんな余裕がない、というのが正しいのだけれど]
……この、馬鹿、が。
[当たった拳は、少なからぬ赤味を頬に残して、するりと落ちる。
それと共に、零れ落ちるのは、先ほどとは打って変わって、低く掠れた声]
俺が、ガキの頃から。
どんだけ、お前に、助けられてたと思ってんだ。
お前がいたからできた事、届いた事、どんだけあるって。
……たくさんたくさん、もらってたから、同じだけ、返したいって、思って。
いつも、いつだって、そう思ってた、のに。