……ん、悔しい、な。生きててほしかったし、生きてたかった。……俺だから残せるもの、俺だけが残せるもの。それがなんだか見えたのに、見えた時には、届かなくなってた。だから、余計に……悔しくて、仕方ない。[言いながら、右手をぐ、と握る。待宵草の浮かぶ右手。褪せた紅の帯びていた熱は、いつの間にか冷めていて]……もっと、たくさん書いて、残したかった。俺の字で記せるもの、一つでも、多く。[冷えたそれに視線を落としながら小さく呟き。僅か、沈黙が落ちて]