[泣き止む気配。顔を上げたロランの眸を覗き、男は微か笑うように目許を和ませた。腕解き、一歩後ろへ寄れば足代わりの狼と目が合う]間近でみるのは初めてだな。[ぽつと呟いて、ロランの言葉を聞く]ミハイルがそれで良いなら僕は構わない。[この小さな集落を離れぬなら目の届く範囲と考えるか。男はロランとミハイルの二人を交互に見遣る。続く冗談にははたり瞬きをしてから、クツクツとおかしそうに喉を鳴らした]