[オリガの仕草はつぶさに右目で見詰めていたけれど、伸ばされた左手に対する反応は、遅れた]オリガ……?[僕のことを覚えていないはずのオリガが、この屋敷に来た時のことを口にする>>400。驚いて見開く右目。左目は残念ながら彼女を映すことは出来なかったけれど、あちらが視線を合わせてくれていることは感じ取れる。彼女の左手は僕の右手に届き、あの時より小さな手の感触が伝わった。闇は、惑うようにただ左半身を揺れ動くだけ]僕……護れて、た?[自問するような声。右目が、彼女の胸元を揺れる淡い金糸の動きを捉えた]