―最期の夜>>4:*8―
[鋭い視線を感じたあの時からエーリッヒの存在が気になっていた。
友の死に泣き濡れるクロエの傍についていた時も
意識の片隅にはあの視線がちらつき警鐘が鳴り止まない。
真夜中、ふと窓をみれば玄関を出て庭の方へとゆく人影がある。
揺れる金糸とそのフォルム、誰であるか判ると同時に動く身体。
スティレットを携えて外套を羽織り彼の後を追った]
こんな夜更けに――…ッ
[彼の行動を訝しく思いながら
このような時間に外を出歩く彼に危険が及ぶ可能性を考える。
矛盾していると思う。
どちらの考えに傾いていたかは覚えていない。
庭に辿り着く頃にはギュンターを発見したあの場所に向かうが見え
結局声を掛けられぬまま森の奥の方へと入ってゆく]