[青年の姿が、獣の姿へと変わる。
銀の毛並みを持つ美しい獣の姿を月が煌々と照らす。
月のいとし子と記される理由を見た気がした]
――…ッ!?
[喉を狙うように襲いかかる爪>>4:*10を避けようと身を翻す。
避けきれずに外套が破れ肩を裂いてゆく]
エーリッヒ、止めろ。
[語りかけるような声を向ける。
二度、爪が肌を裂いて、漸く短剣を手にした。
動きを止めようと振るう刃の先端が触れ獣の毛が散る。
ぬかるむ足場はふたり争う形跡を色濃くしていた。
唸り声を聞き、低い姿勢となった獣をみようとすれば
溶けた雪に月が映り込み男の目を一瞬眩ませた]