[伸ばされた手は触れるに留まらず、重なり>>405。
オリガの口から、僕の名前が紡がれる]
オリガ────
[戻り行く記憶。
彼女の最期を想い、思い出してはダメだと過ぎるも、僕を思い出してくれたことに対する嬉しさが勝って。
見開いたままの右目でただただオリガを見詰める。
彼女の右手が近付いて>>406、細い指先が零れたままの雫を掬った]
っ、 ダメだ、オリガ。
触れたら────
[彼女の右手が前を横切るのに気付き、制止の声が上がる。
闇に巻き込んでしまうと危惧したが、揺らめく闇は想い乗せるオリガの手を、避けて。
左頬と、捩れた肌が垣間見える頬骨の辺りを曝け出した。
それは闇が光を厭うかの如き動き。
肌に戻ろうとする闇は、オリガの手に遮られ宙を漂うばかり]