[目を眇めたその直後、足に鋭い痛みがはしる。
向けられた力をかわすことは叶わず崩れる体勢。
ぬかるみに足を取られ体勢立て直す事も出来ない。
強かに腰を打ちながらも、生を諦めきれぬ男は
スティレットの先を獣に向ける。
確かな手応えを感じるが、獣の動きを止めるには浅すぎた]
―――…、ぐ。
[エーリッヒという人の姿ともう一つ獣の姿もつ存在。
その鋭い爪が、鼓動刻むそれを抉ろうとすれば、喉が鈍く鳴る]
エーリ、ヒ、…、も、止め、…
俺、で、……いごに、し……
[言葉はうまく綴れず今にも消え入りそうな響きが落ちる。
彼を止めたいと思いながらも止められなかった男。
蒼の双眸が最期に見たのは、酔いしれる銀の獣の紅い眸**]