[血筋がそうさせる以上に、
大事な人たちを殺していった人狼を憎んでいた。
うそとほんとうが入り混じって、
いろんな人が死んだけれど、結局全部人狼が悪いのだと、
子供は強く強く思い込んでいた。
ナターリエの抵抗は弱かった。そこにも疑問も浮かばずに、
銀でない刃は、深々と心臓目掛けて突き刺立てられた。
ぬるい赤い水が、丁度顔のあたりにぼたぼたと流れて落ちる。
濡れた翡翠色の瞳をめいいっぱい広げて、強張った顔のまま
見上げる保護者だった人の顔は、最後に誰かを思いやったせいか、
やっぱりどこか自愛に満ちた、優しい優しい顔に見えた。]
はっ、はっ―――――
ナタねーのばか…
おおばか…