やあ、これは『御方』。
お散歩ですか。
[けらり、と笑いながらの言葉に対するのは、睨むよな視線。
その言わんとするところは一応、理解できているので。
微かに笑みつつ、肩を竦める。
傍らの水晶龍は、呆れたように尾を揺らした]
……いや、まあ。
大した傷でもないし、放っておいても問題ないかと。
[白羽猫が何を憤っているのかはわかっていた。
試験の最終戦において受けた傷。
あれは、簡単な止血をしたきりそのままで。
……もっとも、諸々抱えた文字通りの『特異体質』故に、通常の治療手段は受け付けないため、仕方ないのだが]