なんでもないよ!大丈夫!
[響いた声に何事か、と、問う声が外からかかるけれど、大急ぎでそう答えた。赤くなった頬の言い訳は後で考えることにして、目の前の友人の顔を見上げる。
頬の痛みは何故か感じない。それよりも、低く響くソーヤの声の方が耳に痛かった]
うん…ほんとに、僕は馬鹿だ。
[馬鹿と、もう一度呼ばれると頷いて、続く言葉には、僅かに目を瞠る]
僕がソーヤに街の話をしてあげられたのなんて…子供の頃だけで…その後はずっと、僕の方こそ貰ってばかりだって…そう思ってた。
[香草茶の新しいブレンドを考えると、いつも真っ先に持ってきて感想を聞いてくれた。出歩く事の少ない自分は、ソーヤが居なければ、そもそも村の人達との繋がりを保てたかすら怪しい]