― 浜辺→教会の方角へ ―[いつの間にか、陽は暮れていて、潮風が吹きすさぶ。] …―――。[風によって芯まで冷えた黒髪を、梳く指先。くるりと踵を返し、サクサクと音を立てて歩く先。教会の前に人影を見つけて、微かに目を細めた。] こんばんは、ウェンデルさん。 ……そちらは、キャルさんでしたか。[どこかに出かけるのだろうか?と、言葉にはせずに、問いかけるような眼差しを神父見習へと送った。]