[クレイグの言う、ああいう事、が何を指すかを考え巡らせるうち
続く言葉がきこえ、該当する己の言葉に思い当たる。]
それも聞こえてたか。
[戯けた風に肩を竦め、態と、はぁ、と音付きの息を零す。
言い訳なんていくらでも思い浮かぶ。
対面にいるクレイグの想いを声から感じ、茶化すのを止めた。]
さんきゅ。その言葉だけで十分だ。
そりゃ、クレイグに綴って貰えたら本望だったけど
僕が気付くのも遅かったからね。
[遅すぎた、と思う。
願った相手が居なくなった後にそれを自覚したんだから。]
ああ、でも。
[続く言葉はすぐには出ない。
暫く沈黙が落ちて、穏やかないろに見入る時間。]