留守を任せるというつもりも無かった。
ただ、家族だから大丈夫だと、思っていたんだ。
[彼女が家に来た時、「今日から一緒に住む」と告げられて。
彼女が両親を慕ってくれているのが解ったあの時から、ずっと。
離れても、どこに居ても。家族だから。そう思い続けてきた]
一人で何でもできるヤツなどおらん。
そもそも俺は、医者としては出来の悪い方だ。
だから、出来る限りの努力をしないと務まらん。
[医者として、患者に合わせて接することも仕事の内だが。
相手に合わせて態度を変えることは、嘘をつくようでできなくて。
一人ひとりと向き合う時間が取れるこの村だから務まっているようなもので、父のような医者の足元にもきっと及ばない。
機微を察するのも鈍いから、知識と経験を重ねる事で信頼してもらえる医者になろう、その為に費やす時間を惜しまぬようにしよう、その一心でやってきて]