―雑貨屋―
あれ、ゲルダちゃんじゃない。
[客が途切れた雑貨屋の店番は、ここ何年かと違う相手だったから、ついそんな。悪かったねえと笑われてしまい頭を掻いた]
いやいや、そんなんじゃないんだけど珍しいなと思っただけで。
お久しぶりです。今年は俺一人なんだ。
[慌てて両手を振った。不満があるわけじゃないんだ。
繰り返して慣れてきた父親の現況を伝えたり世間話をしたりしながら商品を台に並べてゆく。
日常品から煙草や紅茶まで。ここに卸す品が当然だけど一番多い]
でもやっぱり。
ゲルダちゃん、そんなにしないで帰ってきそうかな。
別に取引はお婆ちゃんとでもいいんだけど、個人的に交渉したいものもあってさ。
[最後に取り出した摺り硝子の容器に入っているのは茶葉らしい。
少し待っててもいいだろうかと首を*傾げた*]