─街の郊外・とあるビル屋上─
[街の風上に当たる場所に位置するビルの屋上。担いでいたものをよっこいせと床に下ろす。ゴトンという重い音。
それは、様々な計器の付いたタンクのようなもの。]
さて、そういえば力場が形成されたらこれ使えって言われてたんだっけかぁ
なぁんか、半分減っちまってるけど……ひはっ、まっいっかぁ
[そう言って笑いながら、ガンッと乱暴にバルブを蹴っ飛ばす。
ブシュウッとタンクから吹き出る霧状の何か。それは風下に向けて流れていく。]
しっかし、情報収集用のナノマシンねぇ
まったく、うちのクライアント様はどこまで『知りたがり』なんだか
全知の神でも騙りたいとしか思えねぇ
[そう言って、上空を見上げる。その視線は遥か遥か上空を見据えていた。]