─どこかの裏路地の屋上─
あら残念。
交渉の材料になるかと思いましたのに。
[鶸色を下に向けたまま、軽く肩を竦める。組んでいた脚を戻すと、屋上の縁に手を添えて。そのままの体勢で宙に身を躍らせた。重力落下に逆らわず落ちる身は、危なげなく地面へと降り立つ。シャラン、と各装身具が調和するように音を奏でた]
ええ、面倒な相手に苦労していると思いまして、ちょっとしたビジネスのお話を。
お話だけでも聞いて頂けるかしら?
[警戒する相手に無防備とも言える様相で微笑む。首を傾げると、それに合わせチリリとイヤリングが鳴った]