……変わってねえだな。この辺りも。
[少女は懐かしげに呟く。
道なき道を登り切った先、慎ましやかな畑が見えた。
少女の異能が発現したのは、数年前。この畑を耕すべく鍬を振り下ろした時であった。
その畑に――懐かしい人影が、二つ]
おっ父、おっ母。今帰っただよ!
[鉄槌と土産物を担いで駆け寄る少女を、両親は信じられないという面持ちで見詰めていた。
一瞬後、わあっと崩れた表情になってこちらへ駆け寄る]
「ロミ……お前、よう帰ってきたなあ!」
「出稼ぎに行くなんて言って出て行って、それっきり顔も見せねえもんだから……!」
[両親は震える声で兄弟姉妹たちを呼んだ。
十人を超える家族たち、さらに同じ村の住人も次々顔を出して、小さな村に大きな歓迎の輪が出来た]