ええー、とっても美味しいって言ったから楽しみにしてたのにー!
どーしてないのー?
[まだ植え替えられたばかりだから実を付けるのは先と言われ、頬を膨らます。頭を撫でられても、宥められても、子供は拗ねたまんま。本当に楽しみにしていたのだから仕方ない。
そして後日、枝には小さな実がほんの幾つか。
森番の許可を貰って一つだけもいだ。齧ると瑞々しく酸っぱい果汁が口の中に広がり、子供はぎゅっと目を瞑る]
…すっぱーい!
甘いって聞いたのに…まだここに慣れて無いからなのかなァ。
あ、でも菓子にするには酸っぱい方がいいって母さんに聞いたよ。
だからまた来年も酸っぱくてもいいから実をつけてね!
[にっこり笑った子供は食べかけの林檎を持ち帰り、美味しいジャムにした]