― 二週間後・辺境の村 ―
「ああ……オラたちもう、一生分は飲んだり食ったりしただ。これ以上の金は遣えねえ」
「あんたが出て行った後、時々お金が振り込まれる事もあったんだけども……どっから出た金かもわからねえし、手も付けねえで取っておいただ」
[両親の言葉に、少女は絶句した。
かつて属していた組織に数割持って行かれたとはいえ、手元にはまだ家族全員が一生働かずとも暮らしていける程の金がある。
しかし家族たちは盛大な宴会と高級な食事にも既に満足してしまい、更に働かない生活など考えられないと言うのだった]
んじゃあ……このお金、どうしたらいいだ?
[自身が遊んで暮らすという選択肢もやはり無く、少女は途方に暮れる。
両親は顔を見合わせると、娘に向き直り]
「そんなら、困っている人のために、何かしてあげたらいいでないかね」
「んだな。オラたちは十分に満足して生活しとるだけども、世の中には飯の食えねえ人だっておるだでね」