─中庭・屋台村の隅─んあ?[痛みに眉根を寄せていたわけではないのだが、傍から見れたそう見えただろうか。温かな波動が腕を包み込み、薄く走っていた紅い線を消して行った]こんくらいは、何とも無いんだけど、な。でもさんきゅ。[左手の甲で目をごしごし擦り、睡魔を追いやろうとしながら礼を言った。灰銀も礼を言うようにゆらりと尾を揺らす]つか、良くここに居るのに気付いたな。灯台もと暗しで見つかりにくいところ選んだのに。[左手を目から離すと、僅か眠そうな暗翠がイレーネを見上げた]