[そう声をかけたものの、既に遅く。
手早く食事を済ませたエルゼが立ち上がり、アーベルに手をあげようとしたのを見て青褪めた。
アーベルが最初の一撃をかわしたのを見れば一瞬安堵の息が漏れたが、まだやり取りは続いていて。
エルゼに胸元を掴まれたのを見て間に割って入ろうとしたところで、ゲルダがエルゼの髪を引っ張った。]
え…ゲルダ、さん?
あ…え、エルゼさん、ごめんなさい!
その、アーベルが失礼を…
[しばし呆気に取られていたものの、はっと気付き慌てて謝ったがエルゼは既に出入り口へと向かっていて。
追いかけようかと一瞬迷ったもののアーベルがフォルカーに話しかけるのを見ると>>376、ふっと脱力して椅子に座り込んだ。]
アーベル…今のは、エルゼさんに失礼だと思うわ。
…お願いだから、あまり心配させないで。
ゲルダさん、助けて下さってありがとうございました。
フォルカーちゃんも、ナターリエさんも…ご迷惑をおかけして、ごめんなさいね。
[椅子に預けた身体は、微かに震えていて。アーベルが殴られたらという恐怖と何事もなくてよかったと言う安堵の両方が見えたろう。]