[回復魔法など、自身は持たない。それは天使の領域だ。
だから赤く焼けて黒に染まる其処は治せないまま。
痛みに眇める視界の先で、翠の焔が確かに彼の足を焼いた>>428]
[恐らく、そろそろ幕を引くべき時]
[ざぁ、と風が巻き上がり、砂と共に吹き付ける。
牽制のそれは視界を、呼吸を奪い去るようで。
咄嗟に目蓋を伏せて口元を袖で覆う。けれど]
……かり…、その ……
[それだけの事が呪を紡ぐ妨げになる筈も無い]
[再び水面が上がるのは、砂嵐が晴れる、僅か前]
――ウィーユライト。
[滴る紅に濡れた左手から真っ直ぐに放たれたのは、光弾。
小さく圧縮され、力を撒き散らすその力を抱えて]