― 到着直後 ―
[大泣きして動けない子供は立ちつくす。到着の声>>#0も遠い。
もう一人の生存者に声をかけられ、頭を撫でられれば、しがみ付くように強く腰あたりに縋って暫くはわんわん泣いた。
降りようと促されればようやく少しだけ勢いは収まり、しゃくりあげつつも手を引かれて歩く。
艦を降りてすぐ、見知らぬ人が待ち受けられて、どこかへ連れて行かれる間もエリカの傍を離れようとはしなかった。
一人になるのを酷く恐れていた。
どんなに強い怒りや悲しみ、嘆きも続けるには体力が足りない。
祖父母に会う前に何処かへ連れて行かれた時には、今度は逆に大人しくなっていた。エリカの手か、裾を握りしめ離そうとはしなかったが。
それから暫く、男が話すのを聞いていた。
泣きすぎてぼんやりした頭、目に見えて残る精神的な疲労。子供には男の丁寧且つ回りくどい説明は理解できなかった。
ただ喋るなと言われて眉根が寄る。反発するように、嫌だと顔が言っていた。エリカは何か口を開いたかもしれない。]