─工房『Horai』前─
[ゼルギウス達を待つ間、風が何度か身を掠めて行く。
その度に金の髪はさらりと揺れ、翡翠は風を厭うように細められた]
ああ、来たな。
[やや離れた場所からかけられる声。
翡翠を向けると二種の銀と亜麻色が並んでいる。
亜麻色に軽く眉根を寄せたが、彼らが近付いて来る頃には表情を戻して]
いや、然程待ったわけでもない。
気にするな。
[謝罪するゼルギウスにはゆるりと首を横に振り。
イレーネとカルメンへの挨拶は頷くような仕草で返した]
邪魔をするぞ。
[そう言葉を紡ぎ、工房の中、客間へと通された]