[聞いたことのない音を口から発しながらも、顔を半ば辺りからえぐりとる。容赦もなく両腕で肉を貫き削り取り、両手が使えねば口を使い首を喰らいついたまま投げ飛ばす。
逃げるものも歯向かうものも武器を投げ出すものも平等に容赦せず、腕を切られても、あろうことか、腕を大木とつなぎ、そのまま捻り潰した
周囲が赤く赤く染まった惨殺光景。
それを独りで行った青年がぴたりとこちらを見据える
そしてまた、聞いたことのない音を発する
言葉はわからない。意味も理解できたとはいいがたいが、わかったのは一つ
従うか。従わぬか。それを問うていた。そしてその結果の一つが今の光景なのだろう
龍にそのようなことをいったのにも、それに思わず屈しそうになるのにも驚くものの私はこれだと思った。
今まで足りなかったのは、自分をも従わせる覇気なのだと―]
―回想終了―