─ 一階・室内庭園 ─
[暫くの沈黙の後、ゆるりとした動作で青年の手を取ると、『仲間』から切り取った一房の髪を乗せる。
己の黒髪にも刃を滑らせ、同じように切り取ったそれも手の上に重ね]
…一緒に生きて、出る事は叶いませんでしたが。
せめて、これだけでも、一緒に。
[そ、と彼の手から落ちぬよう、握らせてから]
…私は、此処に残ります。
『ゲーム』は、終わっていませんから。
与えられた役割を受け入れた駒は、ゲーム盤と共に在るべきでしょう。
それに、私の望みはもう、此処を出ずとも叶えられたから。
[穏やかな声で告げるは己の決意。
既に自分の望みは、『仲間』が叶えてくれた。
メーフィエが名を呼んでくれた時から、私は「アレーナ」を取り戻せたのだから。
もう悔いは無い、そう思いながら立ち上がろうとした、けれど]