─ 黒珊瑚亭 二階 五号室 ─
[逸れる視線の気配にふっと細まる双眸]
――…ん?
お前の前では俺ってば結構素直だったと思うぜ。
[軽口の中に己の感情を混ぜるのが常ではあったが
他の者には滅多にみせぬ心のうちでもあり。
照れるというアーベル>>423に言葉重ねようとした時
同じ五文字が返るのが聞こえる。
獣の耳が驚いたようにピンと立ち
それから戸惑うようにそわりそわりと角度を変える。
照れが混じったとしても人の姿の時のように羞恥に染まる事はない]
熱烈な告白の次は直球の情熱的な告白かよ。
――愛なんて軽々しく口にしたら誤解されるぞ。
[軽口に染まりきらぬ口調は彼の言葉をいつものそれと思うからか。
偽りとも思わぬけれど、本気の本音と思えるほどの自己評価は無く]