─ 回想・場が動く前 ─[ヨハナと繋いだ手はしっかりと握ったまま向かった先。金色の髪の女の子と一緒にいるその人を見て、足が竦んだ。あの時、どれだけ大きな声で訴えても私を見てくれなかった、触ることもできなかった。]ゲルダ、おねえさん。[その人の名を小さく口にしながら、ヨハナと繋いでいる手に力が篭る。繋いでいない手に握った、ゲルダからもらったハンカチが皺くちゃになる。また、私を見てくれないんじゃないか。そう思うと、怖くて、少し震えた。でも。]